ここ日本には豊かな伝統芸能があり、誰もが知っているものとしては主に、歌舞伎、能、文楽の3つの形式があります。これらの伝統芸能は15世紀から16世紀に誕生し、主に君主一族のために上演されていました。さらに詳しく知りたい方のために、伝統的な舞台芸術について、簡単に解説しましょう。

歌舞伎

「歌と踊りの芸術」とも呼ばれる歌舞伎は、最も有名な日本の伝統芸能であり、その歴史は17世紀に遡ります。歌舞伎と言えば、ダイナミックな衣装や興味深い隈取、役者の誇張した演技が見ものです(役者はすべて男性)。そのすべてが観客に畏敬の念を抱かせるよう作られています。

前述したように歌舞伎の舞台は非常にダイナミックです。跳ね上げ戸を使って場面や役者を転換させたり、アクションに合わせて音楽奏者たちが伝統的な楽器を奏でて雰囲気を盛り上げます。歌舞伎の演目の題材は、歴史的な出来事、陰謀、道徳的な対立、愛などです。ほとんどすべての演目には深いテーマや意味があります。

芝居としては、通常は5幕で構成されています。第1幕の「序」では筋書きや登場人物が紹介され、第2幕、第3幕、第4幕の「破」では行動や悲劇が描かれ、最終幕の「急」で満足させる展開となり、物語が締めくくられます。

能の歴史は14世紀まで遡り、音楽、舞踏、演劇を組み合わせた芸術として生まれました。能は演目の間に滑稽な狂言(間狂言)を挟んで、一日中演じられます。また、歌舞伎と同じように、能は5幕で構成されています。

現在、上演される演目は240あり、時間軸が直線的で生きている人間が登場する「現在」、超自然的な存在が主人公となる「夢幻」、そしてその両方をミックスした「両掛」の3つのカテゴリーに分類されます。そのほとんどが、神社の歴史、仏教界にまつわる寓話、女性の人生などを描いています。5つの演目には、それぞれ異なるテーマが混在しています。

能が演じられるのは、屋根がある四角い舞台です。そして、能楽の最も重要な要素の一つは、さまざまな方法で登場人物を表現する仮面です。また、衣装は何重にも重なっており、非常に凝った造りになっています。感情の高まりを表現するため、演者は扇子を使って演技に華を添えます。

文楽

人形劇文楽は17世紀に大阪で発展し、現在まで引き継がれている優れた芸術です。大きな人形を3人で操り、1人の太夫によって物語が語られるのが特徴で、語りは音楽と人形遣いの複雑な動きに合わせて行われます。

人形は熟練の人形師によって作られ、丈は通常150cmほどです。最も注目されるのは頭で、これを操るのが主遣(おもづかい)と呼ばれる主役の人形遣いであり、手は他2人の人形遣いが操ります。人形の頭は、身分、性別、性格などによって異なり、登場人物を特定の方法で表現するため、細かいところまで注意深く作られています。また、衣装は幾重にも重なり、柄もさまざまです。人形遣いは動きをマスターするために何年もの稽古を必要とします。また、伝統楽器である三味線も経験を積んだ奏者によって奏でられます。